自分が年齢を重ねてきたせいでしょうか、最近「孤独死」という単語をよく見かけるような気がします。
シニア世代が賃貸住宅を借りにくいのは、大家が賃借人の孤独死を警戒しているから、などという言説も耳にします。
そこで、日本少額短期保険協会が発表している、孤独死に関するデータ(孤独死現状レポート)を見てみました。
孤独死の男女比率は男性が8割
まずは孤独死の定義です。
同協会によると、自宅内で死亡した事実が死後判明に至った1人暮らしの人、を孤独死とするとのこと。
いきなり驚かされるのが、孤独死の男女比率が8対2で圧倒的に男性が多いという点です。
調査対象数5,543人のうち、男性が4,614人(83.1%)を占めています。
私も含め、「男性は孤独なんだな」と改めて実感しました。
孤独死するのは独居シニアばかりではない
孤独死という単語には、高齢で1人暮らしの人が自宅で亡くなっていた、しばらく発見されず異臭を放っていた…というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。
しかし、レポートからは孤独死が必ずしもシニアだけの問題ではないことが明確です。
孤独死した5.045人の年齢構成は下記のようになっていました。
20歳代 4.2%
30歳代 6.4%
40歳代 10.1%
50歳代 19.2%
60歳代 30.6%
70歳代 20.9%
80歳以上 8.5%
平均すると61歳で、男女ともに平均寿命が80歳を超えている現在において、かなり若くして亡くなっている人が多いとわかります。
60歳未満が約4割にもなりますから、普通の社会ではあり得ない数字ですね。
その理由の1つが自殺の多さです。
死因別に分解したところ、自殺は全体(5.365人)の10.9%となっていました。
令和2年度人口動態統計によれば、自殺を死因とする割合は1.4%に過ぎません。
ちょっと比率がバグっています。
そして、自殺者は若い世代に多いのです。
孤独死した自殺者のうち、30歳代以下が男性46.9%、女性では64.6%と極めて高率になっています。
孤独からの自殺という流れは納得できなくもないのですが…。
自分が孤独死しそうなのにこんなこと言うのもナンですが、若い人が自殺せずにすむよう、何か手助けできることがあればやってあげたい。
そんな気持ちになりました。
孤独死した男性を発見するのは親族ではない
孤独死した人を発見するのはどんな人でしょうか。
親兄弟や賃貸住宅の管理人等が思い浮かびます。
レポートによると、男性の孤独死を発見したのは近親者(親族、友人)34.9%、職業上の関係者(管理人、福祉・警察等)52.6%となっていたのに対し、女性の孤独死では近親者が44.5%と多くなっています(職業上の関係者は45.5%)。
女性は普段から親や友人と電話・メール等でのつながりが多く、突然連絡がなくなることへの違和感から安否確認されるケースが多い
…とはレポートの指摘するところです。
男性は親兄弟とも疎遠になりがちで、友人もいないことが多いということなのでしょうか。
孤独死を未然防止する秘策などない
レポートはまとめとして、家族の絆を取り戻すことが孤独死の未然防止になるのではないか、とやや及び腰に提示しています。
そんなに簡単に家族の絆が取り戻せれば苦労はないよ、というところですが、これを言わざるを得ないあたりに孤独死対策の難しさも感じます。
私はもはや若者でもなく自殺する予定もなく今のところはそこそこ健康なのですが、孤独死する可能性は大いにあります。
レポートを斜め読みして、何か対策を考えないと…と思っています。
メモ
同協会の孤独死現状レポートは、少額短期保険会社の家財保険(孤独死特約付き)に加入している被保険者を対象にしたもの。収集したデータは同協会の孤独死対策委員や協力会社から提供されたもので、対象期間は2015年4月から2021年3月。