65歳からの賃貸住宅探しを支援するR65不動産はこのほど、全国の不動産管理会社に対して「高齢者向け賃貸に関する実態調査」を行いました。その結果、わかったことは以下の4点です。
- 4社に1社(25.7%)が高齢者の入居可能な賃貸住宅が「全くない(0%)」状況
- 28.3%が「直近1年間で、年齢を理由に高齢者の入居を断ったことがある」と回答
- 高齢者の入居後に「実際にトラブルがあった」割合は57.3%
- 全体の38.3%が「高齢者の受け入れを積極的に行うべきだ」と回答
大手は高齢者受け入れ可能な物件が多い
高齢者が入居可能な賃貸住宅がない管理会社は、大手よりも中小・零細にその傾向が強く出ました。高齢者の入居可能な賃貸住宅が「全くない」との回答を分析すると、管理戸数3,000戸以上の業者は6.7%でしたが、同3,000戸未満では30.5%となっています。
逆に、「高齢者の入居可能な賃貸住宅」の割合が80%を超える業者も一定数は存在しまず。全体の16.2%が「高齢者の入居可能な賃貸住宅の割合が80%以上」と回答しました。管理戸数の多い業者ほど、多様な入居者を受け入れて空室を埋めたいモチベーションが上がると考えられます。
高齢者入居のトラブル1位は「孤独死」だが…
年齢を理由に、高齢者の入居を断ったことがある業者は、全体の3割弱に上っています。この数字は管理戸数とは無関係にほぼ同じであり、高齢者の入居に対する不安が業界全体として拭えないことを示しているようです。
高齢者を入居させたことによるトラブルは、57.3%の業者が経験していました。具体的な内容は以下のとおりです。
- 孤独死による事故物件化 56.3%
- 家賃滞納 42.6%
- 死後の残置物の処理 37.5%
総論賛成だが各論反対の高齢者受け入れ
トラブルの1位と3位が孤独死関連ですが、これらは事前の事務委任契約や見守りサービスなどにより回避が可能です。2021年に国土交通省が定めた事故物件のガイドラインに照らすと、事故物件に相当しないケースもあると想定されます。
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業者の38.3%が「高齢者の受け入れを積極的に進めるべき」と回答しているところからは、業者の本音と建前が垣間見えます。高齢者の受け入れは、総論賛成ながら各論反対となりやすい事項です。物件オーナーが嫌がるケースも多いでしょう。
対策を講じた上で高齢者の受け入れを進めるべき
人口の高齢化は、人口減少とともに、今後ますます進みます。築古の賃貸住宅では、高齢者を拒んでいては空室が増えるばかりとなるでしょう。そんな将来を見据えれば、物件オーナーや業者は今から、高齢者の受け入れを前提に、孤独死や家賃滞納への対応を考えることが必要になっているのではないでしょうか。
調査概要
調査実施期間:2022年 8月10日〜8月10日
調査対象:全国の賃貸業を行う不動産管理会社に勤務、もしくは経営する方
有効回答数:860名
調査方法:インターネット上でのアンケート調査